認知症ケアを含め、看護師になると老年看護を経験する機会もあるでしょう。今後高齢化がますます進んでいくとみられているので、病院に入院する高齢者も増えてくることが予想されています。そこで老年看護のやり方を看護師になった早い段階からマスターしておくと良いでしょう。
まず老年看護をするにあたって押さえておきたいのが、自尊心の尊重です。高齢者になると機能低下で、いろいろとできないことも増えてくるかもしれません。しかし彼らにも個性や価値観など長年培って構築されてきたアイデンティティがあります。この部分を尊重しないと、いくら看護しても患者のQOLの低下につながりかねません。何か指導することもあるでしょうが、高齢者の自尊心を傷つけないようにメッセージを送ることが大事です。
若い看護師の場合、高齢者の話す内容を理解できないことも多いでしょう。最近では、これをジェネレーションギャップということもあります。しかし高齢者としても自分の話している内容が相手に理解してもらえないと、どんどん話そうという気持ちもうせてしまいます。そこで彼らの生きてきた時代を自分で調べて理解することも大事です。どんなことが流行ったのか、どんなタレントが人気だったのか、子供のころどんな遊びをしたかなど勉強してみましょう。そうすれば、患者とのコミュニケーションも円滑になるはずです。
看護師の目的は、医療チームの一員として、患者の治癒を目指すことです。しかし老年看護の世界では治癒にあまりこだわる必要はありません。むしろその人の持っている機能をいかに維持するかに着目してケアを行ったほうが良いでしょう。